マーケティングファネルを活用したWEB戦略について解説

消費行動を意識したうえで設計したWEBサイトとそうでないWEBサイトでは、効果が大きく異なります。

情報を収集する手段が多様化した現代ですが、根幹の消費行動に法則があることに違いはありません。

そこで今回は、消費行動を理解するための「マーケティングファネル」について解説した上で、WEB戦略への活用方法を解説していきます。

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目次

消費行動を意識したWEBマーケティング

ハーバード大学のジェラルド・ザルトマンは、「あらゆる消費者は自身のニーズを5%しか言葉で表現できず、残りは氷山のごとく無意識の底に隠されているのだ」と表現しています。

この数字がどこまで正しいかはっきりしないものの、人間は本能による無意識のコントロールには逆らいきれないのです。

WEBマーケティングにおいてもこれを利用しない手はなく、人が無意識に行う購買行動を意識した上でWEBサイトを設計・運用することが、WEBサイトの収益拡大に繋がります。

「消費者は自分の欲しいものがよくわかっていない。」これはWEBサイトを作るうえで重要なポイントです。

マーケティングファネルの活用

無意識化で行う消費行動を意識したWEBサイト設計には、マーケティングファネルの活用が効果的です。

マーケティングファネルとは、消費者が商品・サービスを認知してから、実際に購入するまでの一連の道筋を図式化したものです。

1920年代にサミュエル・ローランド・ホールが提唱した広告宣伝における消費者の心理プロセスを示した「AIDMA(アイドマ)」をマーケティングに活用しています。

当時提唱された「パーチェスファネル」をベースとして、時代の変化とともに「ダブルファネル」「ルーピングファネル」「マイクロモーメントファネル」へとモデルが進化しています。

パーチェスファネル

パーチェスファネル

パーチェスファネルとは、ユーザーの購買決定プロセスを「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」→「購入」の4つに分類して図式化したものです。この段階を経て人数が減っていくのが特徴です。

予算に対して高額な商品、ネームバリューがない、選択肢が多い、過去に購入した経験がない商品などは、このファネルに該当します。

もっとも基本的であり、他のマーケティングファネルのベースになっています。しかし、インターネットやSNSが当たり前の時代になり、パーチェスファネルは時代に合わないと指摘されるようになりました。

2015年にGoogle社のアビナッシュ・コーシックが「The marketing funnel is dead. Again. Or at least, it should be.」とパーチェスファネルは死んだと表現したことが知られています。

そのため、現在ではパーチェスファネルよりも次に紹介する「ダブルファネル」「ルーピングファネル」「マイクロモーメントファネル」に注目が集まっています。

ダブルファネル(アワーグラスファネル・インフルエンスファネル)

ダブルファネル

ダブルファネルとは、従来のパーチェスファネルをベースとして、購入後の行動を可視化したモデルです。

パーチェスファネル同様に、予算に対して高額な商品、ネームバリューがない、選択肢が多い、過去に購入した経験がない商品などが該当します。

パーチェスファネルは、商品を新規販売するところにばかり注目していましたが、購入者のアフターケアが重要であることを示しています。

商品を購入する際にレビューやブログ、SNSでの発信を参考にするのが当たり前になったことにより、購入者の満足度をあげることでリピートや新規購入を増やすことに着目したモデルです。

ルーピングファネル

ルーピングファネル
参考:https://www.uptimiser.com.hk/the-new-digital-marketing-funnel/ 

ルーピングファネルは、多様化する消費行動をループというキーワードを用いて説明するモデルです。

パーチェスファネル同様に、予算に対して高額な商品、ネームバリューがない、選択肢が多い、過去に購入した経験がない商品などが該当します。

認知から購入、その後のリピート購入までを円形に示しており、比較・検討フェーズでループしとどまる様子や、特定のフェーズを飛ばして購入に至る様子もカバーしています。

情報の種類、情報を収集する手段が多様化したことで、消費者の購買行動も多様化していることに対応しているモデルです。

マイクロモーメントファネル

マイクロモーメントファネルは、「いますぐ買いたい」「いますぐ行きたい」など即決するプロセスを表したモデルです。

このファネルには「認知」も「興味・関心」も「比較・検討」も存在せず、「いますぐ〇〇したい!」という意思のみ存在します。

生活必需品や、購買意欲が高い場合、指名検索で商品を購入する場合などがこれに該当します。

指名検索とは、会社名やブランド名で商品を検索することをいいます。名指しで検索するため即決につながりやすくなります。

このファネルは、モバイルの普及によって顕著となった購買行動モデルで、スマートフォンですぐに調べて行動を起せるようになったことがきっかけで一般化しています。

マーケティングファネルを活用したWEB戦略

「マイクロモーメントファネル」の即決パターンと、「パーチェスファネル」「ダブルファネル」「ルーピングファネル」といった熟考パターンでは好ましいWEBデザインが異なります。

この際には、「Fの法則」と呼ばれる視線の法則を活用することで、適切なサイトデザインを設計します。

Fの法則とは

Fの法則とは

「Fの法則」とは、WEBサイトを見る際に人の視線はF字を描くように動くという法則です。この視線の動きに合わせて、最初に目にする左上に重要な情報を配置することで高い効果が得られると言われています。画像でいえば、①②③④の順で視線が動きます。

このFの法則は「即決パターン」「熟考パターン」のそれぞれで活用することができます。

「Fの法則」を活用した即決パターンのファーストビュー

即決パターンで有名なところは、AmazonをはじめとするECサイトです。

AmazonをはじめとするECサイトは、ユーザーが訪問した時点で購入したい商品の目星がついていることが多いため、すぐに申し込めるような導線を引いています。

つまりECサイトでは、最初に目が落ちる重要な左上に「画像」を配置し、続いて「値段」や「内容」、Fの視線の先に「コンバージョン」という自然に購入につながるような目線の動きで設計されています

Amazonの画面構成
参考1.Fの法則を活用したAmazonの画面配置
メルカリの画面構成
参考2.Fの法則を活用したメルカリの画面配置

大手ECサイトの商品ページのように、商品を購入する明確な意志のもと訪問してくるユーザーであれば、このような導線が望ましいでしょう。

また必ずしも、ECサイトだけではなくNETFLIXのように即決できる要素が揃っているWEBサイトでは、ファーストビューで申し込みができるような導線にしています。

NETFLIX

即決パターンで重要なのは、CTAまでの距離を短くすることです。距離を縮めることで離脱する可能性を抑えることができます。

「Fの法則」を活用した熟考パターンのファーストビュー

熟考パターンに該当する商品・サービスは、即決パターンのようにファーストビューに「コンバージョン」を設置するのは場合によっては逆効果です

熟考パターンでは、「認知」→「興味・関心」→「比較・検討」のフェーズを踏んでから「購入」につながるため、購入する準備が整っていない状況で購入を促しても押し売りになってしまいます。

熟考ページの目的は、ユーザーの興味・関心を引き出し、比較・検討に繋げていくことです。商品のベネフィット(価値)が伝わることを一番に意識して、最適な情報を配置していきましょう。

上原翔 写真

執筆監修者 上原 翔

株式会社ワールドリンク 代表取締役
1989年8月6日生まれ、東京都練馬区出身。20代前半にインターネットマーケティングを開始。その後、2017年に同社創業、代表取締役に就任。100以上の法人サイトの運営をサポートしている。

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